コスプレ衣装を制作するには、ミシンや裁縫道具の扱い方を覚えたり、生地について学んだり、さまざまな知識やスキルが必要です。その中でも今回はよく耳にするであろうパターンについて解説します!
自身でコスプレ衣装制作する際やオーダーメイドで依頼する際にも役立つ知識になるので、興味のある人はぜひ最後までご覧ください♪
パターン・型紙(pattern)の役割とは?
パターン(pattern)は、型、図案、模様などの意味を持つ単語です。洋裁の世界では、生地に用いられる柄、型紙(かたがみ)という意味で用いられており、衣装の仕上がりを左右するほど重要なものです。なぜなら、パターンは服づくりの設計図としての役割があるからです。
もし設計図がなかったら、生地をどんな風にカットすれば良いのか、縫い合わせたら良いかわからないため、失敗してしまうかもしれません。美しい服に仕立てるために、最初の段階でパターンを用意しておかなくてはならないのです。パターンには、服の生産効率をアップさせる役割もあります。一度パターンを作っておけば、それをベースにすることで、同じ服を大量生産することができるからです。
パターンづくりの専門職「パタンナー」
アパレル業界には、パタンナーが在籍していることが多いです。パタンナーは、ファッションデザイナーが制作した平面図から、パターンの制作を担当する専門職のことです。パタンナーになるために特別な資格や学歴などは不要ですが、服飾系専門学校、美術系大学、芸術系大学の出身者が多い傾向です。パターンづくりでは、型紙や裁断など服飾に関する知識や経験が求められるからです。
また、パタンナーとして活躍するためには、ファッションデザイナーの意図をくみ取って、パターンに仕上げるセンスも必要です。パタンナーのような高度な専門知識やセンスがないと、コスプレ衣装が作れないのではと不安に思う人もいるかもしれません。確かに、オリジナル衣装や1点ものの衣装になると自身でパターンを仕上げる必要もありますが、オーソドックスな衣装であれば、中には書店や手芸店で型紙付きの書籍を入手して、初心者でも気軽に衣装づくりを楽しむこともできます。自身で衣装を作ってみたいと考えている人は、ぜひ活用してみると良いでしょう。
パターンの種類「立体裁断」と「平面裁断」
パターンには大きく分けて立体裁断、平面裁断の2種類があります。立体裁断は、ボディと呼ばれる人体模型へ生地を直接当てて、立体的な手法でパターンを作っていきます。ドレーピング(Draping)とも、呼ばれている手法です。平面裁断は、作業台などの平面上に紙を置いて、平面な手法でパターン作成を行うのが特徴です。この手法は、平面作図(ドラフティング)とも呼ばれています。
立体裁断と平面裁断には、それぞれメリットとデメリットがあります。立体裁断のメリットは、人体模型を使ってパターンを制作するため、身体のラインを意識しやすいことです。その都度目で確認しながら、カーブを付けていくことができます。ドレープやギャザーを表現しやすいというメリットもあります。反対に立体裁断のデメリットは、手間がかかってしまうことです。人体模型と生地をピンで仮止めしたり、生地を切断したりなどの作業が必要となるため、時間がかかる場合があります。また立体裁断は、高度なテクニックも必要です。
平面裁断のメリットは、綿密な計算を行いながらパターンを作っていくため、正確なサイズピッチで作成できることです。統一したパターンを作れるので、後からサイズ変更、デザインの修正も可能です。さらに、紙とペンだけでも作業ができることから、作成費用を抑えられるというメリットもあります。反対に平面裁断のデメリットは、立体的なイメージがしにくいことです。仕上がりが予測しにくいため、複雑な構造の服づくりには向かない場合があります。
「立体裁断」と「平面裁断」のどちらを選ぶべきか?
では、コスプレ衣装を作成する際には、「立体裁断」と「平面裁断」のどちらの手法を用いた方が良いのでしょうか?どの方法を選ぶかで迷ったときには、自分がどんなコスプレ衣装に仕上げたいのかについて、よく考えてみることをおすすめします。
ドレープ感たっぷりのドレス、凝ったデザインのコスプレ衣装を作りたいのであれば、立体裁断のほうがおすすめです。立体裁断はデザイン性の高い衣装づくりに向いている手法だからです。ただし、立体裁断は、経験やテクニックが必要となるため、初心者がいきなり取り掛かるのは難しいかもしれません。
パターンづくりが初めての方は、まずは平面裁断を選んでおいたほうが良いでしょう。平面裁断は立体裁断よりも取り掛かりやすいうえに、市販の型紙も多いからです。自分の経験やスキル、予算、制作可能な時間なども加味しながら、最適なパータン作成方法を選んでみてください。
パターンを作るために必要なもの
立体裁断や平面裁断などでパターンを作る際には、様々な裁縫用具が必要となります。道具を持っていなければ正確なパターンを作ることができません。良いパターンを作るためには、道具選びも大事なポイントとなってくるのです。パターンづくりで用意しておくものとしては、採寸用具、作図用具、印付け用具などがあります。そのほか、裁断用具や縫製用具なども揃えておきましょう。
採寸用具
腕、足、ウエストラインなど身体の各パーツを図る際や裁断の際に使用する用具です。150cmの長さのテープメジャーを用意しておくと良いでしょう。
作図用具
直線や曲線を描くほかに、採寸でも使用する用具です。方眼定規、ステンレス直尺、L尺、Hカーブルーラーなどが必要です。円やカーブを描くことや図ることもこともあるので、コンパス、自在曲線定規、自在縮尺なども用意しておいた方が良いでしょう。
印付け用具
布や仮縫い用の生地に印を付ける用具です。チョーク、チャコナー、チョークペーパー、へらなどが必要です。
裁断用具
生地や型紙を切断するために使う用具です。裁断ばさみ、ピンキングバサミ、布用カッターなど必要です。これらの裁縫用具は、手芸用品店で買いそろえることができます。近くに手芸用品店がない場合は、インターネット通販ショップを利用してみると良いでしょう。
縫製用具
手縫いをする際やミシン掛けを行う際に必要な用具です。洋裁ろう、はと目のみ、小バサミ、目打ち、糸、針などが必要です。
ミシン
家庭用ミシン、職業用ミシン、ロックミシン、工業用ミシンなどいろいろな種類があります。簡単な衣装を作るだけなら、家庭用ミシンでも十分です。自分の用途や予算に合ったものを選びましょう。
まとめ
今回は衣装制作でよく耳にするパターンについて解説してきました。一言でパターンといっても、実際に自身で取り組んでみると奥が深い内容で、それゆえに専門性も光る部分となっています。自身で取り組んで難しいと感じた場合は専門の人に依頼して作ってもらうというのもアリです。近年ではCADソフトやパソコンを使ってパターンを作る人も増えてきており、効率よく正確なパターンの作成が可能となってきています。興味のある方は、CADにチャレンジしてみるのも良いかもしれません。